第九

本日はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(Ludwig van Beethoven、1770年12月16日ー1827年3月26日)の誕生日。

日本で年末に第九が演奏されるようになったのは、戦後間もない頃。オーケストラ団員の収入が少なく、年末年始の生活に困る状況を改善するためだったといわれています。第4楽章には合唱も入るため、合唱団員の家族もチケットを買ってくれて集客しやすい、というメリットもありました。

敗戦のドイツ。1951年に伝説といわれるフルトヴェングラーの第九によってバイロイト音楽祭は再開されました。1989年、冷戦の象徴であるベルリンの壁が崩壊した直後のクリスマス、第4楽章の”Freude(歓喜)”を、あえて”Freiheit(自由)”に替えて歌われた、レナード・バーンスタインと東西混成オーケストラの演奏。ヨーロッパでは特別な時に特別な曲として演奏されることが多く、名演奏、そして録音された名盤は枚挙にいとまがありません。

我が国では「年末の餅代稼ぎ」などと揶揄されることもある第九…しかし私は「苦悩から歓喜へ」「混沌から生成へ」というベートーヴェン的スローガンが、「今年もいろいろあったけど、来年もひとつ頑張りましょう!」という日本人の考えにマッチしていい習慣だと思います。特にコロナ禍に見舞われたこの2年。音楽を聴く喜び、そんなことを感じた日々でした。

牧野原中学校の冬休みの課題には毎年「年末年始の風物詩、ベートーヴェンの第九に触れる機会を設けて、心豊かに新年を迎えてください」というのがありましが、今年はどうでしょうか。

「空前絶後」と言われる、フルトヴェングラー指揮バイロイト祝祭管弦楽団(1951年)の録音に後ろ髪をひかれつつも、最近そのナンバーワンの地位を揺るがしているヘルベルト・ブロムシュテット指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の交響曲全集の中の1枚。ベートーヴェンが若い頃の交響曲1番や2番は稚鮎のように溌溂として、元気に跳ねているよう…『運命』や7番もいい塩梅のテンポ感。胃もたれしないベートーヴェン。

音楽っていいですね。ジャンル問わず、みんなちがってみんないい、そんな感じです。

ヘルベルト・ブロムシュテット氏。御年94歳。まだまだ元気です。いつだったかNHKでやってたバッハの『 ミサ曲ロ短調 BWV.232』も良かったです。

第九

2021年12月16日