李白

日本の「のんべえ」と言えば、「朝寝朝酒朝湯が大好きでそれで身上潰した」という会津の小原庄助さんですが、中国ののんべえ代表は、詩仙と言われた李白だろうと思います。

中国では「のんべえ」のことを「酒鬼」というそうですが、李白は無類の酒好きで、泥酔し水面に映る月を取ろうとして溺死したとされています。

近隣の中学校では中3で漢詩を学びますが、そこに出てくるのが李白の『黄鶴楼にて孟浩然の広陵に之くを送る』です。七言絶句や押韻の箇所など、今現在授業で習っている中学生も多いのではないかと思います。

李白と同じ「酒鬼」として(李白が詩仙なら私は酒仙と言いたいくらい…)私がぜひ紹介したいのは『月下独酌』です。


花間(かかん)一壷(いっこ)の酒

独り酌(く)んで相親しむもの無し

杯を挙げて名月を邀(むか)え

影に対して三人と成る

月既に飲むを解せず

影徒(いたず)らに我が身に随う

暫(しばら)く月と影とを伴うて

行楽須(すべか)らく春に及ぶべし

我歌えば月徘徊し

我舞えば影零乱(りょうらん)す

醒時(せいじ)はともに交歓し

酔後(すいご)は各 (おの)おの分散す

永く無情の遊を結び

相期(あいき)して雲漢(うんかん) 邈(はるか)なり


 春らんまんの花咲く庭で酒壺が一つ

一緒に飲む相手もなく 一人手酌で酒を飲む

杯を月に向けて「一杯どう?」と呼びかければ

月と私と そして私の影が現れて 三人の酒宴となる

でも月は酒なんて飲めやしない

私の影だけが 私に付き合うだけだ

でも しばらくは月と影を友として

春を楽しむ

酔って歌えば月も踊り

踊れば影も踊る

ほろ酔いのうちは楽しい時間を一緒に過ごし

酔いが回ればみんな元の姿に戻っていく

月よ影よ末永く付き合おうではないか

あの遥かなる天の川で次は会おう

黄鶴楼

美しくライトアップされた黄鶴楼。一度行ってみたいのですが、あの「武漢」にあるので…

2022年10月29日